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総患者数:5,500万人(推定)
  • 世界から学ぶ #022:Comfort Feeding Only

    世界から学ぶ 世界 介護 食事 胃ろう 嚥下
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    Comfort Feeding Only(CFO)は、「栄養を摂らせること」ではなく「食べる喜びや心地よさを保つこと」が目的です。そのため、少しでも本人に負担や苦痛が見られたら、その日の食事介助は笑顔ですぐに切り上げるのが鉄則です。 現場やご自宅で実践する際の「中止のサイン」と「介助のコツ」をまとめました。 1. 食事を中止すべき「苦痛・拒否のサイン」 以下のようなサインが見られたら、脳や体が「今は食べたくない」「これ以上は危険・苦しい」と訴えている合図です。 直接的な拒否のサイン スプーンを近づけると、口を固く閉じる、顔を背ける。 手でスプーンや介助者の手を押しのける。 食べ物を口に入れても、ベーっと吐き出す。 体からの危険信号(誤嚥・呼吸への影響) 激しいむせ込み、または「ゴロゴロ」とした湿った苦しそうな呼吸音(喉にたまっている証拠)。 何度も続けて激しい咳(せき)が出る。 食べている最中に、目がトロンとしてきたり、ウトウトと強い眠気に襲われたりする(意識が下がると誤嚥のリスクが跳ね上がります)。 顔色が悪くなる、または顔が赤くなって苦しそうにする。 大切な考え方 CFOにおいて「残すこと」は悪いことではありません。「一口でも美味しく味わえたら大成功」と捉え、拒否やむせ込みがあった時点で「今日はここまでにしましょうね」と、お互い穏やかな気持ちで終了します。 2. 快適性を高める食事介助のコツ 本人が少しでも楽に、心地よく口に運べるようにするための具体的なアプローチです。 ① 姿勢の調整(もっとも重要) 喉の構造上、上を向くと気道が開き、下を向くと食道が開きやすくなります。 顎(あご)を引く: 軽くおじぎをするような姿勢が、誤嚥を防ぐ基本です。 リクライニング(ベッド上)の場合: 角度は30度〜60度程度が目安ですが、頭の後ろに枕などを挟み、頭だけが少し前にうつむく(顎が引ける)形を作ります。 目線の位置: 介助者は必ず本人の目線よりも低い位置に座ります。上からスプーンを運ぶと、本人が上を向いてしまい(顎が上がって)誤嚥しやすくなります。 ② 食形態(見栄えとまとまり) 終末期は、サラサラした液体(お茶や水など)が一番むせやすく、危険です。 適度なとろみと「まとまり感」: ゼリー状、プリン状、あるいは滑らかなペースト状で、口の中でバラバラにならずにつるんと塊(食塊)のまま喉に送り込めるものが適しています。 温度と風味のメリハリ: 味覚や嗅覚が落ちていることがあるため、少し温かいもの、あるいは対照的に冷たくてさっぱりしたもの(アイスクリームやゼリー、水ようかんなど)のほうが、喉のセンサーを刺激して飲み込みやすくなります。 ③ スプーンの進め方 下から、小さめのスプーンで: ティースプーン1杯弱(ティースプーンの半分〜3分の2程度)の少量ずつ運びます。多すぎると処理しきれません。 下唇にトントンと触れる: 口を開けてもらうための合図(原始反射を促す)として、下唇に優しくスプーンを当て、本人が自発的に口を開けるのを待ちます。無理にこじ開けてはいけません。 しっかり「ごっくん」を確認する: 喉仏が動いて、確実に飲み込んだのを確認してから次の一口へ進みます。口の中に残っているうちは次を入れてはいけません。 3. 食べられない時の「もう一つのComfortケア」 もしスプーンでの食事が全く進まない日でも、できることはたくさんあります。CFOではこれらも立派な「食事ケア」の一環です。 お口の潤い(口腔ケア): 終末期は口の中が乾きやすく、それが一番の不快感になります。湿らせたスポンジブラシでお口の中を拭いたり、好みの飲み物を少し浸したガーゼで唇や粘膜を潤すだけで、本人は非常にすっきりします。 「食べる空間」の共有: 無理に食べさせなくても、家族が近くでお茶を飲んだり、お出汁(だし)のいい香りを部屋に漂わせたりして、「食の雰囲気」を一緒に楽しむことも五感を心地よく刺激する素晴らしいケアです。 CFOを支えるご家族・スタッフへ 「栄養を摂らせなきゃ」という医療的な視点から、「この瞬間、心地いいかな?」という人生の豊かさを守る視点へシフトすること。それが、本人の穏やかな笑顔と、見守る側の心の平穏につながります。
  • 🕵認知症が死因のトップ?直接的な死の引き金は?

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    「認知症が死因のトップになった」というニュース(国内外の共同研究チームによる『世界の疾病負荷研究』などの分析結果)は、インパクトが大きかったですよね。それまで上位だった脳卒中や心疾患の管理が進んだこと、そして超高齢社会で認知症を抱える人が増えたことが背景にあります。 ただ、「認知症という病気そのものが直接の引き金となって心臓を止める」わけではありません。 実際には、脳の神経細胞が壊れていくことで身体をコントロールする機能が失われ、それに伴う「合併症」や「身体の衰弱」が直接的な死の原因となります。具体的には、主に次の4つの要素が直接の死へとつながっていきます。 1. 嚥下(えんげ)障害による「誤嚥性肺炎」 もっとも多い直接的な死因の一つです。 仕組み: 脳の萎縮が進むと、食べ物や唾液をうまく飲み込むための神経の指令が出せなくなります(嚥下障害)。その結果、食べ物や唾液が誤って気管や肺に入ってしまい、そこに細菌が繁殖して激しい肺炎を引き起こします。 繰り返すリスク: 一度治っても、飲み込む力自体が回復しないため、何度も誤嚥性(ごえんせい)肺炎を繰り返し、徐々に体力を奪われて致命傷になります。 2. 脳の司令塔機能の喪失による「衰弱(餓死・脱水)」 末期になると、人間の生命維持に関わる根本的な欲求や機能が失われます。 仕組み: 「お腹が空いた」「喉が渇いた」という感覚そのものを脳が認識できなくなったり、目の前にあるものが食べ物だと理解できなくなったり(失認)します。また、咀嚼(そしゃく・噛むこと)の仕方を忘れてしまうこともあります。 結果: 無理に食べさせようとしても、体が受け付けなくなり、栄養失調や脱水症状が進んで全身の臓器が静かにシャットダウンしていきます。 3. 活動量の低下に伴う「寝たきり・感染症」 認知症が進行すると、歩き方やバランスの取り方を忘れ、最終的には寝たきりの状態になります。 仕組み: 筋肉や関節が凝り固まり、自力で寝返りを打つこともできなくなります。 結果: 体重がかかり続ける部分の皮膚が腐ってしまう「褥瘡(じょくそう・床ずれ)」ができ、そこから細菌が血液に入り込んで全身に回る「敗血症(はいけつしょう)」を起こしたり、尿道カテーテルなどから「尿路感染症」を起こして重症化したりします。 4. 自律神経の乱れによる「突然死・心不全」 脳の萎縮は、思考や記憶のエリアだけでなく、呼吸や血圧、体温をコントロールする「自律神経の司令塔」にまで及びます。 仕組み: 体温調節がうまくできなくなって急激な高熱を出したり、血圧や心拍数のコントロールが利かなくなったりします。これにより、ある日突然、心不全や呼吸不全を引き起こすことがあります。 【補足】日本の公的な統計(厚生労働省)との違い 厚生労働省が毎年発表する「人口動態調査」の死因順位では、いまだに「がん」「心疾患」「老衰」がトップ3で、認知症は上位に出てきません。これは、日本の医師が死亡診断書を書く際、直接の死因となった「誤嚥性肺炎」や、天寿を全うしたという意味での「老衰」と書くケースが圧倒的に多いためです。一方で、今回の「認知症が1位」という研究は、「肺炎や老衰で亡くなったけれど、その根本的な原因(原死因)を遡れば認知症だ」という視点でデータを再解析したため、このような結果になっています。 認知症の終末期は、ガンのような激しい痛み(癌性疼痛)を伴うことは少ないですが、脳が徐々に生命のスイッチを切っていくように、ゆっくりと全身の機能がフェードアウトしていくのが特徴です。 関連記事:日本人の「死因」、認知症が首位に?