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この「認知症が死因の首位になった」というお話、実は「ある国際的な研究チームのデータ分析」としては本当ですが、日本の一般的な行政統計(厚生労働省の発表)とは見せ方が異なるため、少し誤解を生みやすい状態になっています。
結論から言うと、ニュースなどで話題になったのは慶應義塾大学や米国ワシントン大学などの国際研究グループが2025年3月に発表した、約30年間の健康データ(GBD:世界の疾病負担研究)の解析結果です。
なぜこのような違いが生まれるのか、その仕組みを紐解くと、これからの日本の医療や介護のリアルな課題が見えてきます。
なぜ「首位」と言われるのか?(国際研究の視点)
私たちが普段目にする厚生労働省の「人口動態統計」では、死亡診断書に書かれた「直接の死因」がそのままカウントされます。しかし、今回の国際研究グループは「実質的に命を縮める原因となった根本の病気」を精密にデータ分析しました。
認知症の患者さんは、進行すると以下のような状態になることが多くあります。
- 食べ物をうまく飲み込めなくなる(嚥下障害) ⇒ 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を発症
- 身体を動かせず寝たきりになる ⇒ 免疫力が落ちて感染症や老衰へ
厚生労働省の統計ではこれらが「肺炎」や「老衰」として処理されますが、研究グループが「これらは実質、認知症が引き起こしたものだ」と根底にある原因(根本死因)を突き詰めて再計算したところ、2021年時点で「認知症」ががんや心疾患を抜いて実質的な死因の1位になった、ということが判明したのです。
厚生労働省の公式ランキング(従来の視点)
一方で、病院で書かれる死亡診断書の表面上の病名を集計した厚生労働省の最新データ(2025年概数)では、順位は以下のようになっています。
- 悪性新生物(がん)(約24%)
- 心疾患(心臓病)(約14%)
- 老衰(約12%〜13%)
- 脳血管疾患(脳卒中など)
- 肺炎
この公式統計だけを見ると、アルツハイマー病などの認知症はトップ10(1%〜2%程度)に位置しています。
このニュースが意味する「これからの課題」
医療が進歩したことで、かつてはすぐ命に関わっていた「がん」や「心筋梗塞」「脳卒中」などで亡くなる割合は年々減少し、日本人はさらに長生きできるようになりました。
その結果として、「三大疾病は乗り越えられたけれど、超高齢になって認知症を患い、最終的にその影響で亡くなる方」が相対的に激増しているというのが現在の日本のリアルな姿です。
まとめると
「がんで亡くなる人」の数が今すぐゼロになったわけではありません。しかし、「命の終わりを迎える引き金として、認知症が最も大きな影響力を持つ時代になった」というのは間違いなく事実です。だからこそ、お薬で治すことが難しい現代において、最初にお話ししたような「家庭や地域でいかに穏やかに、尊厳を持って暮らせるか」という非薬物療法やケアの重要性が、国全体で非常に重く捉えられるようになっています。
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