世界から学ぶ #004:福祉先進国スウェーデン
-
高齢化が進む世界の中で、
スウェーデンは「福祉先進国」として知られています。認知症ケアにおいても、単に介護サービスを充実させるだけでなく、
「認知症になっても、その人らしく暮らし続けられる社会をつくる」
という考え方を大切にしています。
日本とは制度や文化が異なる部分もありますが、私たちが参考にできる考え方は少なくありません。
スウェーデンの認知症ケアの基本理念
スウェーデンでは、
「できなくなったこと」よりも
「まだできること」
に注目します。
認知症になると、どうしても失敗や困りごとに目が向きがちです。
しかしスウェーデンでは、
- 残された能力を活かす
- 本人の意思を尊重する
- 自立を支援する
ことが重視されています。
そのため介護者は「代わりにやってあげる人」ではなく、
「本人ができることを支える人」
として関わります。
施設ではなく「住まい」という考え方
スウェーデンの認知症ケア施設には、
病院のような雰囲気ではなく、家庭に近い環境を目指しているところが多くあります。
- 小規模なユニット
- 家庭的なキッチン
- 馴染みのある家具
- 落ち着いた生活空間
などを整え、
入居者が安心して暮らせる環境づくりが行われています。
これは、
「認知症の人は環境の影響を強く受ける」
という考え方に基づいています。
身体拘束をできるだけ行わない
スウェーデンでは長年、
身体拘束を極力避けるケアが重視されてきました。
もちろん転倒リスクへの配慮は必要ですが、
まず考えるのは
- なぜ歩き回るのか
- なぜ落ち着かないのか
- 何を求めているのか
という本人の気持ちです。
問題行動として捉える前に、
背景にある理由を理解しようとする姿勢が大切にされています。
認知症の人を社会から孤立させない
スウェーデンでは、
認知症になっても地域とのつながりを維持することが重要視されています。
例えば、
- デイサービス
- 地域交流施設
- 認知症カフェ
- ボランティア活動
などを通じて、人との交流を続ける機会が作られています。
認知症になったからといって社会から切り離すのではなく、
地域の一員として暮らし続けることを目指しています。
家族介護者への支援も重視
認知症ケアでは本人だけでなく、家族への支援も欠かせません。
スウェーデンでは、
- 介護相談
- レスパイトケア(介護者の休息支援)
- 家族向け教育プログラム
などが整備されています。
介護者が疲れ切ってしまうと、本人にも良いケアを続けることが難しくなります。
そのため、
「介護者を支えることも認知症ケアの一部」
という考え方が根付いています。
日本でも取り入れられている考え方
近年の日本でも、
- パーソン・センタード・ケア
- ユマニチュード
- 認知症カフェ
- 地域包括ケア
など、スウェーデンを含む北欧諸国の考え方に影響を受けた取り組みが広がっています。
特に、
「認知症の人を問題として見るのではなく、一人の人間として尊重する」
という考え方は共通しています。
私たちが学べること
スウェーデンの認知症ケアで最も参考になるのは、
特別な設備や制度ではなく、
「本人の尊厳を守る」という姿勢
かもしれません。
認知症になると、できないことは増えていきます。
それでも、
- 本人の気持ちを聞く
- 選択肢を示す
- できることを奪わない
- 人として尊重する
という関わり方は、家庭介護でも今日から実践できます。
まとめ
スウェーデンの認知症ケアは、
「認知症の人を管理する」のではなく、
「その人らしい暮らしを支える」
ことを目指しています。
制度の違いはあっても、
本人の尊厳を大切にする考え方は、日本の家庭介護にも活かせるものです。
認知症になっても、その人はその人のまま。
その視点こそが、スウェーデンの認知症ケアから学べる最も大切なことではないでしょうか。
世界から学ぶ世界には、同じ悩みに向き合いながら工夫を重ねている介護者がいます。
このシリーズでは、その知恵を日本の介護にも役立つ形で紹介していきます。
関連記事: 介護現場でよくある状況でのユマニチュード活用例