<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?><rss xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/" xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/" xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom" version="2.0"><channel><title><![CDATA[世界から学ぶ #021：夕暮れ症候群 ― Sundowning]]></title><description><![CDATA[<h3>夕方になると、別人になる ― 「夕暮れ症候群／日暮れ症候群」という現象</h3>
<p dir="auto">夕方の、あの時間が、こわい。</p>
<p dir="auto">そう感じている介護者は、少なくありません。</p>
<p dir="auto">昼間は、あんなに穏やかだったのに。<br />
陽が傾きはじめる頃になると、決まって、そわそわし出す。<br />
「家に帰る」と言って、玄関に向かう。<br />
理由もなく、怒り出す。<br />
落ち着きなく、家のなかを歩きまわる。</p>
<p dir="auto">そして、夜が更けるほど、それはひどくなっていく。</p>
<p dir="auto">介護をしていて、いちばん消耗するのが、この夕方から夜にかけての時間帯だ——<br />
そう感じているなら、それには、はっきりとした名前があります。</p>
<p dir="auto">「<strong>Sundowning（日没症候群）</strong>」<br />
日本語では、「<strong>日暮れ症候群</strong>」「<strong>夕暮れ症候群</strong>」とも呼ばれます。</p>
<p dir="auto">これは、あなたの介護のやり方が悪いから起きるのでも、<br />
その人の性格が変わってしまったから起きるのでもありません。</p>
<p dir="auto">まず、そのことを知ってください。</p>
<hr />
<h2>「なぜ、夕方だけ」なのか</h2>
<p dir="auto">日没症候群でいちばん不思議なのは、<strong>時間になると、まるでスイッチが入ったように始まる</strong>ことです。</p>
<p dir="auto">午前中は、おだやか。<br />
お昼過ぎも、まだ大丈夫。<br />
けれど、午後3時、4時——陽が傾きはじめる頃から、少しずつ、様子が変わっていく。</p>
<p dir="auto">この「時間の規則正しさ」こそが、日没症候群の最大の特徴です。</p>
<p dir="auto">海外の医療機関（アメリカのメイヨー・クリニックなど）は、これを一つの「病気」ではなく、<strong>特定の時間帯に決まって現れる、症状のまとまり</strong>だと説明しています。</p>
<p dir="auto">では、なぜ夕方なのでしょうか。<br />
原因は、まだ完全には解明されていません。<br />
けれど、有力とされている説が、いくつかあります。</p>
<h3>体内時計（概日リズム）の乱れ</h3>
<p dir="auto">私たちの脳のなかには、「体内時計」があります。<br />
朝が来れば目を覚まし、夜が来れば眠くなる——この一日のリズムを刻んでいる、小さな司令塔です。</p>
<p dir="auto">専門的には「視交叉上核（しこうさじょうかく）」と呼ばれる場所が、その役割を担っています。</p>
<p dir="auto">ところが、認知症になると、この体内時計をつかさどる部分が、少しずつ壊れていきます。<br />
すると、「今が昼なのか、夜なのか」という、体の感覚そのものが、あいまいになってしまう。</p>
<p dir="auto">夕方という、昼と夜の境目。<br />
その「切り替わり」の時間に、壊れかけた体内時計が、うまく対応できずに混乱する——<br />
これが、日没症候群の有力なメカニズムだと考えられています。</p>
<h3>「一日の疲れ」が限界に達する</h3>
<p dir="auto">もう一つ、見落とされがちな要因があります。<br />
それは、単純な「疲れ」です。</p>
<p dir="auto">認知症の人にとって、一日を過ごすことは、私たちが想像する以上に、体力と気力を使う作業です。<br />
「ここはどこか」「今、何をする時間か」を、常に考え続けなければならない。</p>
<p dir="auto">その緊張が、一日の終わりに向けて、少しずつ積み重なっていく。<br />
そして夕方、心と体のエネルギーが尽きたとき、それが混乱や不穏という形で、あふれ出してしまうのです。</p>
<hr />
<h2>夕方の「引き金」を、減らしていく</h2>
<p dir="auto">日没症候群には、完全な「治療法」はありません。<br />
けれど、症状を引き起こす**「引き金」を減らしていくこと**は、できます。</p>
<p dir="auto">海外の研究や医療機関が指摘している、代表的な引き金と、その対策を挙げていきます。<br />
すべてを完璧にやる必要はありません。一つ試してみて、合いそうなものを続けてみてください。</p>
<h3>引き金1｜光が減り、影が増える</h3>
<p dir="auto">夕方、部屋が暗くなってくると、ものが見えにくくなります。<br />
壁にできた影を、人影と見間違えたり。<br />
薄暗さのなかで、不安や恐怖が、ふくらんでいったり。</p>
<p dir="auto"><strong>→ 対策：暗くなる前に、明かりをつける</strong></p>
<p dir="auto">陽が落ちきる前に、早めに部屋の照明をつけましょう。<br />
「暗くなってから」ではなく、「暗くなる前に」が大切です。<br />
影ができにくいよう、部屋全体を明るく保つと、混乱が和らぐことがあります。</p>
<h3>引き金2｜昼間の疲れと、昼寝のしすぎ</h3>
<p dir="auto">昼間に寝すぎると、体内時計がさらに狂い、夜眠れなくなります。<br />
かといって、疲れすぎても、夕方の不穏につながります。</p>
<p dir="auto"><strong>→ 対策：昼は活動的に、昼寝は短めに</strong></p>
<p dir="auto">日中は、散歩や、日光を浴びる時間をつくりましょう。<br />
日光は、乱れた体内時計を整えるのを助けてくれます。<br />
昼寝をするなら、午後の早い時間に、短く。夕方近くの長い昼寝は、避けたほうが無難です。</p>
<h3>引き金3｜カフェインと、夕食</h3>
<p dir="auto">コーヒーやお茶に含まれるカフェインや、夕方以降の糖分は、興奮や不眠につながります。<br />
また、重すぎる夕食も、体に負担をかけます。</p>
<p dir="auto"><strong>→ 対策：カフェインは午前中まで。夕食は軽めに</strong></p>
<p dir="auto">カフェインを含むものは、できれば午前中で切り上げましょう。<br />
夕食は、消化のよい、軽めのものにすると、夜が穏やかになりやすくなります。</p>
<h3>引き金4｜「見えない不調」― これが、いちばん大切</h3>
<p dir="auto">ここが、いちばん見落とされやすく、そして、いちばん重要な点です。</p>
<p dir="auto">その夕方の不穏は、実は「日没症候群」ではなく、<strong>体のどこかの不調が、言葉にできずに現れたもの</strong>かもしれないのです。</p>
<p dir="auto">たとえば——</p>
<ul>
<li>お腹が空いている、のどが渇いている</li>
<li>便秘や、トイレに行きたい不快感</li>
<li>どこかが痛い</li>
<li><strong>尿路感染症（UTI）などの、隠れた感染症</strong></li>
</ul>
<p dir="auto">認知症が進むと、「お腹が痛い」「トイレに行きたい」と、言葉で伝えることが難しくなります。<br />
その代わりに、それが「そわそわ」「怒り」「徘徊」という形で、現れてしまう。</p>
<p dir="auto">特に、<strong>尿路感染症</strong>は要注意です。<br />
高齢者では、熱が出ないまま、急に混乱や不穏だけが強くなることがあり、見過ごされがちです。</p>
<p dir="auto"><strong>→ 対策：「いつもと違う」ときは、体調を疑う</strong></p>
<p dir="auto">「急に夕方の不穏がひどくなった」というときは、まず、体のどこかに不調がないかを疑ってください。<br />
そして、その状態が続くようなら、我慢せず、かかりつけの医師に相談しましょう。</p>
<p dir="auto">薬の影響（飲み始めや、量が変わったとき）も、原因になることがあります。</p>
<hr />
<h3>その人は、「困らせている」のではなく、「困っている」</h3>
<p dir="auto">対策を並べてきましたが、いちばんお伝えしたいのは、技術のことではありません。</p>
<p dir="auto">夕方、落ち着かなくなり、怒り、家を出ていこうとする。<br />
その姿を見ていると、つい、こう思ってしまうかもしれません。<br />
「どうして、いつもこの時間に、私を困らせるんだろう」と。</p>
<p dir="auto">でも、どうか、思い出してください。</p>
<p dir="auto">その人は、あなたを<strong>困らせている</strong>のではありません。<br />
その人自身が、いちばん<strong>困っている</strong>のです。</p>
<p dir="auto">体内時計が壊れ、昼と夜の区別がつかなくなり、<br />
薄暗い部屋のなかで、ここがどこかも分からず、<br />
言葉にできない不安のなかに、たった一人でいる。</p>
<p dir="auto">「家に帰りたい」という言葉は、<br />
今いる家のことではなく、<strong>心から安心できた、遠い昔の場所</strong>を求めているのかもしれません。</p>
<p dir="auto">そう思うと、少しだけ、その姿の見え方が変わってこないでしょうか。</p>
<hr />
<h3>この記事で、覚えておいてほしいこと</h3>
<p dir="auto">最後に、大切なことを、三つだけ。</p>
<p dir="auto"><strong>①</strong> 夕方の不穏には「日没症候群」という名前があり、あなたの介護のせいではありません。原因は、その人の脳のなかの、体内時計の乱れです。</p>
<p dir="auto"><strong>②</strong> 完全にはなくせなくても、「引き金」を減らすことはできます。光、生活リズム、カフェイン、そして「隠れた体の不調」。この四つを、まず見直してみてください。</p>
<p dir="auto"><strong>③</strong> そして、これがいちばん大切です。夕方の不穏が、いつもと違って急にひどくなったときは、「性格の変化」だと思い込まず、<strong>体調不良のサイン</strong>を疑ってください。尿路感染症や痛み、脱水が隠れていることが、とても多いのです。</p>
<p dir="auto">夕方の時間が、こわい。<br />
その気持ちは、よく分かります。</p>
<p dir="auto">でも、その時間に起きていることの「正体」を知れば、<br />
少しだけ、落ち着いて向き合えるようになります。</p>
<p dir="auto">その人も、あなたも、あの夕暮れのなかで、<br />
一緒に、困っているのです。</p>
<p dir="auto">一人で抱え込まず、どうか、周りの手を借りてください。</p>
<hr />
<h3>参考にした「世界の知恵」</h3>
<ul>
<li>Mayo Clinic（メイヨー・クリニック）「Late-day confusion in people with dementia」</li>
<li>Alzheimer's Association（アルツハイマー協会）「Sleep Issues and Sundowning」</li>
<li>日没症候群と概日リズム障害に関する複数の医学研究（Frontiers in Neuroscience ほか）</li>
</ul>
<blockquote>
<p dir="auto">※夕方の不穏が急に強くなった場合、尿路感染症・脱水・痛み・薬の副作用など、治療できる原因が隠れていることがあります。「認知症だから仕方ない」と決めつけず、かかりつけの医師や地域包括支援センターにご相談ください。介護者自身の睡眠が削られ続けているときも、我慢せず、必ず周りに助けを求めてください。</p>
</blockquote>
<hr />
<blockquote>
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<ul>
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</ul>
</blockquote>
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